8/1(土)「システムの再構築」 at Spiral に向けて

ここ一年くらい、こういうトークイヴェントの類によばれたりする機会がずいぶんと多くなっていて、それは必ずしもぼくが特に呼ばれるようになっているというよりも、全体的に批評関連・美術関連の言説が求められるような機運の高まりがあるからなのだとおもう。とはいえぼくの印象では、基本的に美術館やその他のアート関係のトークやシンポジウムではすごくヌルいサロントークが行われるのが慣習化していて、ほとんど自分から積極的に出向いたりはしなくなっていた。そういうのは聞いてるだけでストレスになってしまうので。さらに嫌な事には、日本の現代美術界にはそういうヌルさをオーディエンスも含めて容認するような空気があり、さらに出演者もその空気に甘えてさらにヌルくなり、さらに観客はそのヌルさを助長して..というようにいわば「ヌルさの累乗」(なんだそれ..)のような事態なわけです。


これ、半ば冗談ですが、半ば本気でそう思っていて、そういう空気、同調圧力にこそ抵抗したい、少なくともぼくが出る限りは、いかにKYだと思われようとも(いや、そう思われてるだろうという事くらいはわかってますから)毎回、それなりに論点を提出して、多少とも構築性のある議論をしたいと思ってきました。どう考えてもはじめからヌルそうな企画はスルーしていますし、今後もそのスタンスはしばらく変わらないと思います。Spiralのような表参道のステキ空間で、しかも展覧会の一環として企画されたトーク・イヴェントのなかで、ガチで美術の現在について語るなんていうのは、これかなり空気を外した感じになりかねないわけで、それはそれで怖い。とはいえ「批評の現在」「絵画を再起動する」をはじめ、いつも密度の高い議論を交わして頂いている千葉雅也さんという強力な論客がついていますし、これまでの議論をぼくなりに踏まえつつ、しかし新たな形で展開してゆくための素材はいくらか用意してのぞみたいと思います。さらに今回は、「ヴィヴィッド・マテリアル」展や「美術手帖」での座談会などでもお世話になっている粟田大輔さんにも加わって頂いていて、彼独自のスタンス、様々な立場で美術の現場と関わりながら培ったアクチュアルな論点を提出してもらえるのではないかと楽しみです。


2009年はかなり重要な「切断」の年になるのではないかという予感が、どうも確信に変わりつつあって、そのあたりの話を「ネオテニー・ジャパン」「ウィンター・ガーデン」「鴻池朋子 インタートラベラー 神話と遊ぶ人」「名和晃平 L_B_S」「越後妻有アートトリエンナーレ」など、つい最近の、あるいは開催中の展覧会を結びつけながら、情報環境の問題なども織り合わせつつ、同時にそれを「歴史」の問題として考えてみたい。多少暴力的にであれ、突破力のある議論を提出したいと思っています。このあたりはどうやら、ここでみられるように千葉さんの目論見とも重なっているようで、面白くなるのではないかと。超大上段に構えて言えば「美術史を再起動する」、これがテーマでしょう。いろんな意味でスリリング、しかも久々の「無料」です。ぜひ!


http://www.spiral.co.jp/e_schedule/2009/07/2009-stars-popping-out-of-chao.html