2006-01-01から1年間の記事一覧

aiko「気付かれないように」、再び

ニューアルバム『彼女』に収録されている「気付かれないように」に関してhttp://d.hatena.ne.jp/kosuke_ikeda/20060904で一度分析したのだが、この曲はaikoの中でもおそらく一二を争う名曲だと思う。上ではその決定不可能性について考えた訳だけど、改めて聞…

ストローブ=ユイレ 物体としての顔

ちょっと前だけどアテネ・フランセでストローブ=ユイレ特集をやってて、「ルーブル美術館訪問」(2004)と「あの彼らの出会い」(2006)を見てきた。「ルーブル」ではアングルやヴェロネーゼ、ティントレットなどの作品をスクリーン全体に固定カメラで捉えつつ…

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展覧会を批評すること

例えば、ビル・ヴィオラの展覧会を否定するのは意外と簡単だと思う。あの中でパッと印象に残る作品をつかまえて、その凡庸なスペクタクル量産法を蔑めば良いし、時代錯誤的にバブリーな六本木ヒルズという場と、その作品とを重ねることも出来るだろう。ただ…

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「ビル・ヴィオラ:はつゆめ」展

森美術館「ビル・ヴィオラ:はつゆめ」展へ。力強く、かつ、高精度な展示。この作家の近年の活動の総決算。 このアーティストは80年代頃から一貫して映像メディアを使ってきていて、(今回は出されていないけれど)初期はヴィデオというメディウムの本質をシ…

京都にて

3日に搬出を終え、その日のうちに東京に戻ってきた。 関西にいる間、見たい展覧会を押さえつつ、人と会いつつ、個展会場へ行き、という感じで忙しかったのだが、せっかくの秋の京都なので、ということで建仁寺に行ってきた。で、気にはなっていたのだけれど…

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自分が持っている言葉を対象に当てはめるのではなく、対象に向き合う度に、そこから新たな言葉を引き出すこと。 これができなければ批評的認識は進歩しない。

関西へ再び

東京に戻ったばかりでまた明後日には京都へ搬出で行くのだけれど、いくつか関西方面で見ておきたい展覧会のメモ。 京都国立近代美術館 都路華香展 京都市美術館 浅井忠と関西美術院展 大阪国立国際 エッセンシャル・ペインティング展 小川信治展 というくら…

I came back to Tokyo

四国でのアート巡りを終え、東京に戻ってきた。 アメリカより帰国してからは、個展準備でずっと忙しかったので、今回の四国(本島・直島)は久々に心休まる旅だった(といっても半分は仕事絡みなのだけど)。 直島は2年ぶりの二回目で、寒くもなく日差しも美…

始まりました

オープニングも無事におえ、ようやくほっとする。 僕が世界で一番恐れている方が会場に現れ、展示を評価してくれたのが、素直に嬉しい。ギャラリートークもなかなか充実したものになったと思う。 今日から2.3日、四国の笠島・直島でアート巡りの旅をしてきま…

coming soon!

僕は21日(火)のオープニング日のみの在廊になります。皆様にお会いできればと思ってます。 よろしくどうぞお願いします。

Kosuke Ikeda Solo Exhibition ”Goldfish Picture”

(English version below) 個展 ”ゴールドフィッシュ・ピクチャー” 2006. 11.21 (火)ー12.3(日)13:00-20:00 最終日17:00まで 月曜休廊 Voice Gallery http://www.voicegallery.org/ - オープニングパーティー 11/21 18:00- ギャラリートーク 11/21 19:00-…

detail

展示前にあまり作品を公開するのもあれなんだけれど、少しディテールを。ちょっと、美しいです。 Studio visit is always welcome!

「aikoのマンガ100選」から、楳図かずお「ねがい」

ここしばらくずっと家で制作という日々が続いていたのだけれど、今日は制作を半日にして、夕方から下北沢へ。ヴィレッジバンガードで楳図かずお「ねがい」を買う。収録は「ねがい」「DEATH MAKE」「断食」「Rojin」「プレゼント」「蛇」「鎌」。この本はswit…

展示への協力(感謝!)

展示へ向けて、制作を続けている。そんな中、今回すごく助かっているのは、旭化成ワッカーシリコーン株式会社http://www.aws-silicone.comが展覧会の協賛になってくれて、素材をずいぶんと提供してくれたことだ。ここのプロダクトのRTV-2 SLJ3220というシリ…

new work, fragment

展覧会のために制作しているものの、ほんの断片ですが、サーヴィスします。 具象で、抽象。抽象で具象な作品になれば良いなと、悪戦苦闘中。 以前から、透明な作品が作りたかった。透明で、しかも抵抗感のあるもの。

さんまのメディウム性

芸大北千住キャンパスにて「対話する音楽・映像・政治」という企画の一環として行われたライブ(出演:大友良英/ジム・オルーク/秋山徹次/飴屋法水/Sachiko M)へ、ここのキャンパスへははじめて行ったのだが、実は家からものすごく近い。その後、ある人と飲…

第一回、ドゥルーズ「感覚の論理」読書会

上野・芸大にてドゥルーズ「感覚の論理」の読書会。 一章では、ベーコンにおける隔離の問題が語られる。画面中央に現れる形体(figure)は、重ねられる直方体、円形の場、椅子やベッドなどによって隔離され、見るものとの間に隔たりが導入される。それは、形体…

新しいこと、制作

これまでと全く違う、新しいことを始めるというのは、リスクも大きいし、失敗も多い。具体的には型取り、成型というような作業を様々な種類の樹脂を使って試しているのだが、トライアンドエラーを繰り返しながら、少しづつ要領が身に付いてくる。思ってもい…

ドゥルーズ「感覚の論理」

読書会でドゥルーズ「感覚の論理」を読むことになり、今日アマゾンで注文する。フランシス・ベーコン論であるだけに気にはなっていたのだけれど、なにせ高いし(定価8400円)厚いし、ってことで恐れてた。まあそういう話(参加するってこと)になってしまっ…

モダンパラダイス

竹橋の東京国立近美にてモダンパラダイス展。大原美術館と東近美のコレクションから、いくつかのテーマごとに西洋と日本の画家の作品を対置させる。 セクションは「光あれ」、「まさぐる手、もだえる空間」「心のかたち」「夢かうつつか」「楽園へ」、という…

ストイキツァ「絵画の自意識」から

グレコが描くトレドの風景、その手前に差し挟まれるトレドの地図。以下引用。「建築物は同定が困難であるにせよ、すべて実際の場所に位置しているのである。唯一のーーしかし重要なーー例外は別として。すなわち、タブローの中央には、他に比して大きくしか…

スタジオ

当たり前のことだけれど、美大生が学生を終えてすぐに困るのが、スタジオと作品の置き場。僕の場合、今、住んでいるアパートは二部屋あって、そのうちの一つをスタジオとして使っている。制作のために移動する必要がないので悪くないのだけれど、本当のこと…

新作

11月のヴォイスギャラリーでの個展のため、新作の制作を開始している。とりあえず二年ほど続けてきている鏡の作品ではなく、全く違ったものに挑戦してみている。何と言うか僕は根本的に飽き症なので、あまり同じことを延々とやっているとシラケてくるとい…

公開制作35 松浦寿夫「林と森―筆触の論理学」

府中まで微妙な遠出をして松浦寿夫氏の公開制作+個展「林と森―筆触の論理学」を見、その後、松浦氏と岡崎乾二郎氏とによる対談を聞く。 http://www.art.city.fuchu.tokyo.jp/frame-3.html 単なる予定調和的、「作家に伺う」的な対談の枠を超え、印象派ー象…

ティツィアーノ「コンサート」(1511/1512)

ティツィアーノ「コンサート」(1511/1512)。画面中央を黒く覆うマント、それに身を包んだ男が鍵盤を弾く。画面左下、そこに張り付いたまま離れていない手の様子を見ると、つい今まで、中央の男は音楽に没頭していたようだ。しかし、その演奏は、画面右側の…

風神雷神図

まだ行っていないのだが、出光美術館にて「風神雷神図屏風」展が開催されている。宗達の風神雷神と、さらに光琳、抱一による、二つの模作が少なくとも展示されているらしく、それ以外のものがあるのかどうなのかは知らない。 ぱらとフライヤーを見て思い起こ…

中村大三郎「読書」(1936)

カタログをぱらぱらと見てたら、中村大三郎の「読書」(1936)が目に留まる。 構図は非常に平明。画面右上から左下にかけての対角線上に頭部、手元、膝が配され、それらの要素をモデルの視線が左下方向へと貫く。この視線に導かれて画面左下へと進んだ視線は…