http://www.kosukeikeda.net/
ドメイン料金の振込を忘れていてアクセスできない状態になっている。そういえば、そういうお知らせが来てた。ぼくはこういう生活上の基本的な手続きとか書類関係とかが、まったくできない人間で、いつも親に怒られていた。成長してない。ウェブもそろそろちゃんとしたのを作りたい。整理しておきたい情報はたまっているのだけど。

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ある美術館カタログの翻訳(日→英)。あまり複雑でない文章の場合、だいたい60%くらいの文は一定ペースで訳す。あと35%くらいは、文章の構造を工夫しながら、できるだけ英文として不自然でないようにする。で、残りの0.5割くらいに、どうしても訳せない、というかしっくり来る訳がみつからないセンテンスがあって、その1文のために2,3時間つかって消耗しきったり、そういう感じ。ベンヤミンは「翻訳者の使命」で、翻訳の唯物論っていうか、単純にいうと逐語訳を推奨してるけど、さすがに普通の仕事として翻訳する上で、逐語訳はむり。純粋言語には近づくかもだけど。


翻訳が面白くて大変なのは、そもそも複数の言語間の翻訳は不可能で、どうしても抵抗がそこに発生してしまうことだろう。翻訳する時のぼくのイメージでは、言語というのは粘性のある液体みたいなもので、複数の言語による文章は、それぞれの水準にあるレールを流れる液体の運動のようなもの。言語がそのレベル間を流れおちるときに摩擦で流れがとまったり不純物が入ったり気泡ができたり。コンテクストを気にせず翻訳すれば、自動翻訳みたいな摩擦の跡と不純物だらけのボコボコの文章になる。それを、なんとか抵抗がでないよう、ブリッジをつくってみたり、グリースを塗ってみたり、時には丁寧に手ですくって別のレールにうつしかえてみたり、ゴミをとったり。そうしてできるだけ液体の成分を変えず(意味を変えず)かつ、表面がスムーズな(不自然さのない)流れを目指す。